今回は、その第15回コラム 「裏金?簿外資産?」をご紹介します。(平成18年11月号)
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「水、金、地、火、木……」の最後、冥王星が今年8月太陽系の惑星から除外されることになりました。
今まで明確でなかった太陽系の惑星の定義が国際天文学連合の総会において明らかにされ、冥王星はその条件を満たさなくなった為なのだそうです。日本人ならば誰でも、先生や友達と大きな声で何度も繰り返し覚えたことのある懐かしい記憶。これで太陽系の惑星は「……土、天、海」で終わり、8個になってしまいました。他の惑星と異なる特徴を有するため、疑問視する研究者が少なくなかったのですが、アメリカ人が発見した唯一の惑星であるという政治的側面もあり、長らく惑星の座に留まっていました。しかし昨年太陽系において冥王星よりも大きい天体が、同じくアメリカ人により発見され、これをきっかけに惑星に対する議論が再燃し、現在のような取り扱いに落ち着いたようです。ちなみに冥王星は英語ではプルート、ギリシャ神話の最高神ゼウス(木星)の兄です。
さて税法においても、新商品が発売されることなどにより、課税当局より新しい解釈や課税の方法が示される場合があります。例えば3年ほど前から発売された長期傷害保険について、今年の5月、生命保険協会からの照会に対する国税庁の回答という形で、その取り扱いが明確化されました。
終身タイプの場合、保険期間開始のときから70%に相当する期間については、支払い保険料の4分の1のみ損金の額に算入することを認めるというものです。
事故による死亡、ケガなどに対する保障を目的とする長期傷害保険や、保険金額が段階的に増加する逓増定期生命保険は、解約返戻金の返戻率がきわめて高く、また保険料支払いによる節税効果と相俟って、将来の設備投資や、役員の退職金の支払いなどに備える目的で利用されることの多い保険です。これまでは両保険とも支払った保険料については、一定の要件に該当すれば、税務上全額損金の額に算入できると解されていました。尚、逓増定期生命保険は、現在でも一定の要件に該当すれば全額損金となります。支払った保険料は損金ですから、貸借対照表には表現されません。また保険の解約権を行使することによって現金化しますが、不正経理などによる「裏金」とは違い、こちらは税務上認められた「簿外資産」であるといえます。
冥王星降格のきっかけとなった天体は、今年9月「エリス」と命名されました。不和や争いの女神です。この女神、とある結婚式に招待されないことに腹を立て、「もっとも美しい女神へ」と記した林檎を宴席に投入れ、3人のメジャーな女神の争いを惹起したこともあります。そしてこれが10年もの間続く「トロイの木馬」で有名なトロイア戦争の原因となるのです。
逓増定期生命保険の解約返戻金の返戻率のピークも最低5から10年程度必要です。したがって保険加入時の当事者が亡くなったり、会社の内外を取巻く状況が変化することなどにより、当初の目的が曖昧になってしまうことも考えられます。そこで将来においても当初の目的を確実に実行させるために、議事録や各種規定など文書として残しておくことが重要となります。
林檎が投げ込まれないという保障はどこにもありませんから。念のため!
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